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2016/06/01

着物リメイクする事は「お身内や着物への想い」を大切にする事

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page私がリサイクル着物店時代に強く感じた2つの事

私はこの仕事を始める前、長年リサイクル着物店を営んでいました。
その時に感じたことをお話します。

リサイクル着物業とは中古の着物や帯を仕入れ、あるいは個人の方から買い取って転売する仕事です。

あなたは中古着物の買取り価格の相場をご存知ですか?

街のリサイクルショップやリサイクル着物店へ着物や帯あるいは反物を持って行けば、シミやカビ等よほど酷い状態でなければ買い取ってもらえます。

が、しかし問題はその価格なのです。

私はこの記事を書いている時点で53才です。
私の世代も含めて現在でもそうですが、よほどのお金持ちでない限りは結婚などの際に着物を買い揃える時、一枚の着物に使う金額は15万~高くて50万円くらいまでだと思います。

振袖・訪問着・黒紋付き・留袖・小紋・アンサンブル……
通常、親はこれら一式を我が娘が嫁ぐ時に買い揃えて持たせます。
少なく見積もっても、その出費は最低100万円はかかっているはずです。

  そして…
  それら親が大金を出して買ってくれた着物を…
  着ることなく、箪笥の肥しのまま年月が経過し…
  ある日、「もう着ることはないから」と…
  思い立ったように買取り屋さんへ持って行く。

  その結果は…
  一枚100円~せいぜい1000円まで…
  全部まとめて1000円~5000円がいいところでしょう。

ご両親が我が娘の為に100万円以上の大金を出して買い揃えた着物を、ほとんど着ることもなく、挙句の果てに二束三文で売る。

私はリサイクル着物店の時、このように着物や帯を売りに来られた方々の落胆されたお顔をイヤというほど見てきました。

現代では日本人女性のほとんどの方が着物を持っているが、その着物を着ることなく最終的には売る・捨てる・人にあげる、という悲しい現実があります。

恐らくはこれを読んでいるあなたも、そうではないでしょうか?

もうひとつ…

例えば、あなたがリサイクルショップに売った着物達は、全てそのまま転売されると思っていませんか?

答えはNOです。

経験上、買取りした着物の内そのまま転売され、めでたく次の人に着られる着物は恐らく全体の2割程度です。
残り8割の着物はハギレ等に、または廃棄されています。

せっかく「なんとかこの着物を次の人に大切に着てもらいたい」と思ってリサイクルショップに持参しても、その願いの大半は叶う事がありません。

これが現実なのです。

そんなこんなで…
今、日本中にある着物の行く末を考えた時、

 もう着られる事のない着物の生地を別のカタチで活かすべき、という想いや、

 それぞれの方の大切な着物を二束三文で買取るべきではない、という想いが、

日に日に強くなっていきました。

 

今までの職歴と、在庫の着物を活かす決意

 

現在では着物離れが進み、田舎の小規模なリサイクル着物店が将来生き残れる確率はほとんどありません。
なので私は、何か新しい商売を始める必要性にせまられていました。

当時、店の在庫着物や帯をあわせると軽く1000枚以上ありました。
すべて着物として着られる綺麗な状態のものばかりです。

ふと目にした着物が、「あぁ、これはあの時あの方にお売り頂いた着物だな」と明確に記憶しているものも多々あります。

これらの着物を活用せずに別の商売をする、という選択肢は私にはありませんでした。

皆さんにお売り頂いた着物を活用しないとバチが当たる、と真剣に思いました。

他のリサイクル品とは違って、着物の場合は「手放された方の着物への想い」が詰まっています。
その「想い」を、私は買取った際に一緒に受け取っているのです。

そう考えた時、次の商売は何をするべきなのか、答えは簡単でした。
それが現在の、”着物リメイク工房いにしえ”です。

幸いにも私は若い頃に、某アパレル企業に10年ほど務めた経験がありました。
担当はカタログのデザイン制作部門でしたが、商品開発のいろはも全体としては理解できていました。

そういった流れで、さっそく準備に取りかかったのです。

 

1年の準備期間中に決意した、たった1つの事

 

当初は右も左も解からない着物リメイク業でしたが、一つだけ、やる事は明確に解かっていました。

どこにも負けない商品開発をする、という事です。
モノ作りを商売にする訳ですから、当たり前と言えば当たり前ですよね。

ところが…

いろんな他の着物リメイク店を調査していく内に、「その店その店で、デザインセンスや縫製技術に大きな格差がある」ことに気付きました。

そして、一番ショックだったのが…

 メジャーなお店は立派な作品を作っていて、
 マイナーなお店はそれなりの作品しか作っていない…

と思っていましたが、実はそうではなかった事です。
これには大きな衝撃を受けました。

私が調べて感じた限りでは、けっこうな有名店でも手抜きと言わざるを得ないモノを作っていたり、逆に、個人の方でも立派なモノを作っていたりします。
それは、一例や二例ではありません。

普通、他の業界であれば有名なお店はその名に恥じぬ立派な商品を手掛けているものです。
ところが、この業界は一概にそうとは言えないことが解かりました。

しかし…その答えは間もなくして、すぐに理解できました。
それは…この業界は、歴史が浅くまだまだ未成熟な業界、だったのです。

調べてみると、古いお店でも10年~15年程度という歴史の浅さです。
したがって今の着物リメイク業界の現状は、早く始めたお店がその腕にかかわらず優位に立っている、という見方が出来るわけです。

 私は、チャンスだと思いました。
 同時に、ピンチだとも思いました。

未成熟な業界でライバルが少ない点では、大いにチャンスです。
着物をどうしようか困っている人は数多くいるので、将来伸びる業界であることは間違いありません。

しかし先程書いたように、低レベルな商品を作っている業者がいるのも事実です。
「着物リメイクって、こんなもの?」と思われかねません。
これは大いにピンチなわけです。

私はこのチャンスを活かし、同時にピンチを是正する方法は一つしかない、と確信しました。

それは…

良いモノ作りを徹底して行い、集客に励むこと。

考えてみれば、これ当たり前のこと、ですよね。
結局は、当たり前のことを当たり前にできるお店が、人の目にとまり世の中から信頼され、その業界を牽引していくのです。

私は本気で、ここを目指そうと思いました。

 

開店から年月が経過して思うこと

 

ずいぶん変わったな~、と素直に思います。

リサイクル着物店をやめて1年間は、試行錯誤しながらオリジナル商品の開発に没頭しました。
それと平行して、縫製スタッフ探し、実店舗の開店準備、ネットショップの制作などなど。

動かぬ脳みそと身体…
当時アラフィフの私には本当にしんどい日々でした。

そして、岡山市内に実店舗を開店し、半年後にネットショップをオープンさせることが出来ました。

あれから数年が経過した今、痛切に思うこと、それは…

何事も基礎や土台が肝心なんだな、改めてそう思いました。

 妥協なき、商品サンプル作り。
 妥協なき、縫製スタッフ探し。
 妥協なき、店舗・ネットショップ作り。

冗談ぬきで準備期間の1年間は、これに心血を注ぎました。
もちろん今でもそれを継続しているのですが、その1年間は本当の意味で努力し、またお金もたくさん使いました。

なので、この準備期間1年間が当店の基礎・土台であると同時に、これからはその基礎・土台をより一層強固なものに作り上げていこうと考えています。

 

最後に…今、着物リメイクをお考えの方へ

 

タイトルにもありますように、着物をリメイクする・着物をリフォームするという事は、「その着物にかかわった人の想いを大切にする」という尊い行為です。

リメイクすることでお金を使いますが、お金ではない何かが、そこにはあります。
私は、それはまぎれもなく豊かな心と気持ちになれることだと思います。

  親が買ってくれた着物だけど、もう着る機会がない。
  でも何とか活かしたいから、何かにリメイクする。

  母の残した着物が、箪笥の肥しのままになっている。
  何とか、日の目を当ててあげたいからリメイクする。

  お婆ちゃんの古い着物…いつもこの着物を着ていたなぁ。
  何かにリメイクして、いつも傍に感じていたい。

これらはすべて、「美しく尊い気持ち」だと思います。

悲しいかな私達は、忙しい現代の生活に日々翻弄され、ともすると「大切な何か」を忘れがちですよね。

私は着物リメイクすることは「忘れかけた大切な何かを思い出し、豊かな気持ちにさせてくれる」と考えて間違いないと思います。

そう、着物リメイクとは「心からの行為」なのです。

時間とお金に振りまわされる今の世の中ですが、だからこそ活きた時間とお金の使い方をしたいものです。
その数少ない方法の一つが、着物リメイクなのです。

ここまで読み進んでくださったあなたは、着物リメイクに関心がある方のはずです。
着物リメイクをお考えなら、あなたの考えは尊い考えだと理解できたと思います。

是非そのお考えを行動に移しましょう。
着物が喜びますよ。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

 

 

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