ここでは、そのヒントとなる記事を書いてみたいと思います。
この着物や帯を何にリメイクしよう?、と考える前に、
「何故リメイクしたいのか?」
を考えてみると良いかも知れません。
お客様が着物リメイクをされるパターンは、大きく分けて二つあります。
① ご自身の着物を、もう着ないからリメイクする
② お身内の着物を、何らかの理由でリメイクする
ほぼ全てのお客様が、このどちらかがきっかけで着物をリメイクしようとお考えになるようです。
この二つには共通するキーワードがありますよね。
何故、リメイクをするのか
という部分です。
着物や帯を何にリメイクすればいいのか?、を考える時は、まず「何故リメイクするのか」を先に考えると、考えがまとまりやすいです。
リメイクする理由
私のお店では、この理由(動機)をしっかりとお伺いをしています。
もう着ないから。
母や祖母の記念品・形見として。
子供時代の記念として。
処分する前に、せめて何かにして残す。
などなど、その方その方で実にさまざまなリメイクの理由(動機)があるのです。
なので、着物リメイクを考える順番としては、
①
② 、(着物か帯か)リメイクするのか。
③ 、(洋服・小物など)リメイクしたいのか。
通常は、この順序で考えると思います。
これに実際の生地や柄あるいは傷み具合などを考慮しつつ、リメイク品を決定していくのです。
「何を」「何に」…これには相性があります
極端な話ですが…
帯を、チュニックにしますか?…硬くて着られないですね。
帯を、日傘にしますか?…重くて持てないですよ。
絞りや縮緬の着物を、洋服にしますか?…洗濯後が大変ですよ。
相性とは、こういう事です。
形には出来たとしても後々の使い勝手が悪いのでは、「リメイクしなければ良かった」と思うはずです。
上の例は極端だとしても、細かい相性というものがありますね。
ほとんどの場合、生地の厚さ・薄さがリメイク品との相性と関係していると感じています。
例えば…
しっとりしなやかな正絹生地に、作務衣は合うでしょうか?
帯で暖簾は作れますが、暖簾のくぐり心地はどうでしょう?
希望リメイク品ありきで考えたい気持ちはよく理解できますが、生地の相性を無視して作るとあとで後悔することになりかねません。
その他にも…
着物の生地にはストレッチ性(伸縮性)がまったくありません。
このことから、タイトなシルエットの洋服には絶対に不向きです。
着物生地の特性で言うならば、絞りや縮緬も洋服には不向きです。
あと、古い着物生地にも注意が必要ですね。
このあたりの事は、この記事か゛参考になりますよ。
また…
その着物により、家庭で洗える生地、洗ってはいけない生地がありますし、その見極め方も非常に専門知識を要します。
小物やインテリア品にする分には洗濯はまずしないので大丈夫ですが、洋服にリメイクする場合には後々のアフターケア(特に洗濯)の扱いやすさも考慮する必要があると思います。
洗濯については別に記事を書いていますので参考にしていただければと思います。
紫外線についても、ある程度の注意が必要です。
着物の生地に限らず布製品は紫外線に気を使わねば、「気付いた時には色が抜けていた」という失敗がつきまといます。
全部という訳ではありませんが、黒い生地や刺繍部分は紫外線に弱い傾向があります。
詳しくはこちらの記事をお読みください。
とは言っても、
「この着物でこれを作りたい」というお客様のご要望に、
私達が「やめといたほうが良いですよ」という場合は稀なケースです。
ある程度はお客様のほうも理解していると感じています。
ただ中には、「この着物でどうしてもこれを作りたい」と頭が凝り固まっているお客様もいるのが現実です。
着物リメイクの相性を説明することは、
ある意味では、着物リメイクの負の部分をさらけ出すことです。
ご相談を受けて、負の部分をお話すると「出来ないのならもういい」といった態度をとられることも稀にですがあります。
しかし、着物は高級品です。
その方にとっては、大切な思い出の品です。
私達は、着物リメイクに関して「責任」があります。
負の情報を積極的に発信することも一つの責任だと考えています。
ま と め
何にリメイクすれば良い?…と考える前に、
「
」、その理由を念頭においてリメイク品を決めるのが良いです。なぜなら、
例えば、りメイクの理由が、
「身内の形見の着物だから、故人を忘れないように」
という事だとしたらどうでしょうか。
リメイク後の条件としては、
「傷みにくく長持ちする品」
「身の回りで使用する品、あるいは身近に置いておける品」
がよいのではないでしょうか。
このように、着物リメイクではリメイクする理由によっては、不向きなアイテムがあるのは確かです。
たとえば、
上の例で言えば、「日傘」はあまりお薦めは出来ません。
長時間きつい日差しにさらされる日傘は、着物によっては色抜けの早い生地もあります。(UVカットスプレーである程度防ぐことは可能ですが。)
また日傘は、ある意味では「機械物」ですので、ぶつけたり、何かの拍子に傘の骨が壊れることも考えられます。
身内の形見の着物でリメイクした品物が壊れると悲しいですよね。
なので、リメイクするアイテムを決める時は、
リメイクする理由を頭に置きつつ、その理由から逸脱しないような品物に決定するようにしましょう。
希望のリメイク品が決定すれば、
次に考える事は、「着物と希望リメイク品の相性」を考えてみましょう。
“帯で洋服を作る”など、明らかに無理があるのは解かると思います。
しかし問題は、”判断が微妙なケース”ですね。
「この着物でコートは、生地が薄い、あるいは柔らか過ぎるかな?」
「この着物でワンピースは、生地が厚い、あるいは硬いかな?」
「刺繍があるけど、大丈夫かしら?」
といったような場合ですよね。
このような微妙なケースになると、お客様個人での判断は難しい場合もあります。
お手持ちの着物あるいは帯と、希望リメイク品との相性を判断しかねる場合には、私達のような着物リメイクのオーダー専門店へその生地を送り、判断を委ねることをお薦めします。
お客様にとっても、私達作り手にとっても、後悔や失敗はあってはなりません。
その為にも、
● 何故、その着物をリメイクしようと思ったのか?
● その着物と、希望リメイク品との相性は良いか?
この二つが、良い着物リメイク品にする大切なポイントですので、じっくりと考えてみては如何でしょうか。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
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