お送り頂いたお着物を検証した結果、お断りするケースもございます。
2015/03/16
下記は、リメイクをお断りしたお客様より頂いたメールです。
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ハッキリとお伝え頂けるのは大変有り難いことです。
正直言って、すごく、共感します。
実は、あぁこれ無理だろうなぁ、と内心思っておりました。
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でも見て頂けて良かったです。
生地の状態を確認せずに言われるのと、きちんと見て頂いて言われるのとでは全然信頼度が違います。
私に及ばない部分が多く、却って心苦しい思いをさせてしまいました。
大変申し訳ありません。
でももしよろしければ、
今後私自身にリメイクの機会があればお願いしたく存じます。
きちんと見てくれて、触って確認してくれて、やり取りしてくれて、その上できちんと無理なものは無理と言ってくれるお店は数少ないんです。
そのことが私にとって大きな収穫でした。
本当に気になさらないでください。
目先の利益で動きがちな着物業界にあって、竹本様のご誠実なメールに感謝の気持ちで一杯です(o^^o)
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このお客様のご要望は、
お婆様の古い銘仙のお着物を形見分けで、「ティッシュケース」「印鑑ケース」「がま口の小銭入れ」を各数点仕立てたい、
というものでした。
もちろん作ることは可能です。
しかし、ご要望の品は、すべて「使用する物」です。
ですので、古い銘仙の生地が、使用に耐えられないと判断しました。
ご相談いただいた本人様は私とメールでその理由等をやり取りしておりますのでご理解いただいております。
しかしこれは「形見分けの品」ですので、渡された側はそんな事を知らずに使用するわけです。
で、使っている内に(1年もたずに)破損すれば、どう思われるでしょうか?
結果は"言わずもがな"です。
古い着物(戦前のもの等)は、生糸そのものが劣化しています。
※糸が固くなっている感じ。
このような生地はすぐに破れます。
形見分けに使用するお着物は古いものが多いと思いますが、経年劣化が進んでいるような生地は「使用する物」ではなく「観賞する物」にリメイクされると良いでしょう。
肌身離さずお持ちになりたいお気持ちは良くわかります。
しかし、すぐに破損する事がわかっていながら、お作りすることは私には出来ません。
このような場合、当店では「着物リメイクのフラワー」をお薦めしています。
どうしても「使用する物」が良いのなら、当店ではお断りする以外にはありません。
稀なケースではありますが、古いお着物ではこのようなケースもある、というお話でした。