表地も裏地も着物生地のAラインコートです。
2016/09/01
表地は小紋の反物、裏地は振袖を使用したAラインのコートです。
このお客様のご要望は、丸い衿、丸いサイドポケット、Aライン、大きなボタン、前身頃と袖口は裏地が見えやすいように表地と裏地を突き合わせ仕上げ、というものでした。
この着物リメイクの場合、最大の難関は「タイトなAライン」をどう実現するか、という問題があります。
着物生地にはストレッチ性がまったくありません。
逆に言えば、着物リメイクではタイトなシルエットの洋服はあまり好ましくない、という事を意味します。
お客様の要望の実現と、着物生地の特徴とはまさに"真逆"です。
しかしこうした場合でも、着物生地の特徴(伸縮性が無い)を踏まえつつも、お客様の要望に応えなくてはなりません。
このケースで一番大切なのはシルエットラインのパターンです。
パターンを工夫して解決する以外にはありません。
ただ、ミリ単位の曲線の調整になりますので、それなりに経験値が必要です。
着心地はミリ単位の手作業で決まります。
また、このコートの特徴は丸い衿と丸い外付けサイドポケットです。
特に、規則正しく並んだ模様柄に、「共布で斜めに丸い外付けのポケット」を付ける難しさがお解かりでしょうか?
近くで見ないと、ポケットがあるのか無いのか解からないほど正確に柄合わせをしています。
そして、裏地の付け方にも工夫を施しています。
●コートの裏地は見えるもの・見せるもの
当店ではコートの裏地をこのように考えています。
普通は「袖口」や「前身頃」は少し(1~3㎝)中から裏地を付けるのですが、当店ではコートに限り「表地裏地突き合わせ」にしています。
裏地を見せやすくする為です。
このように、いろんな技と工夫がされている当店のダブル着物(裏地も着物)のコートです。
このコートで街を歩けば…
美しさ・粋さ・豪華さ、が際立っていますよ~。