白大島紬のコート…裏地も小紋の着物です。
2015/06/29
白大島紬とピンク色の小紋で、コートのご注文をいただきました。
白大島紬と他の着物を合わす場合には、色柄を選びます。
今回は2枚ともにお客様お手持ちの着物をご提供いただいたのですが、「よく、合うものがあったな」と思いました。
特に、白大島紬と合わせる他の着物の選択は難しく、当店でも過去のオーダーでは、倉庫で在庫着物を探しに探した記憶がございます。
その白大島紬に合う今回のお着物は、淡いピンク色で全体に小柄の入った小紋です。
ピンクといっても、派手でもなく地味でもない、丁度良い感じの色合いです。
生地も、「しっとりしなやか」で裏地にはもってこいの生地でした。
ワンピースやチュニックですと、裏地を付ける場合には、その着物の裏地をお付けするケースがほとんどなのですが、コートの裏地は当店では別の着物をお付けするようお薦めしています。
理由は…
●ワンピースやチュニックとは違い、コートの裏地は「着ていて見える」ものだからです。
真冬の厳冬期でもない限り、コートの前ボタンは開けて羽織ると思います。
その際に、コートの裏地は必ず見えるものです。
たとえば…
大島紬のコートの裏地が白のキュプラ(普通の裏地用生地)だと、カッコ悪いというか、表地の大島紬とつり合いが悪いですよね。
キュプラは滑りが良いので着やすく、静電気が起きにくいので裏地に使われているのですが…。
私に言わせれば、「ダサい」の一言に尽きます。
当然、悪いところもあり、「通気性が非常に悪い」です。
このキュプラの欠点は、シルクの着物を使用しての着物リメイクの洋服にとっては大きなリスクになりかねません。
ご存知のように、着物(シルク)の最大の欠点は、「湿気に弱い」という点です。
その欠点を補ってくれるのが、実は「シルクの裏地」なのです。
ですので、シルクの着物リメイクの洋服の裏地には、その着物に付いているシルクの裏地か、または今回のコートのように着物の表地を使用するのが正解なのです。
裏地全体に汗ジミがあり使用出来ない場合でも、どこのリメイク店にも着物の余りの裏地はあると思いますのでシルクの裏地を付けるようお薦めします。
さて、本日の裏地も着物を使用する「表裏ダブル着物のコート」は、特徴というかポイントがあります。
写真を見て頂ければわかると思いますが、前身頃では表地と裏地を"突き合わせ"にしています。
普通は、ボタンホールくらいまでは裏地も表生地を使用するのですが、当店では"突き合わせ"にして仕上げます。
これは先程書いたように、「裏地は見えるもの」…
●もっと言えば、「コートの裏地は見せるもの」
という当店の考え方に基づいて、このような仕立て方にしております。