黒の絵羽織をトートバッグにして形見分け。
2015/07/10
黒の絵羽織をトートバッグにリメイクして三人の伯母様へ形見分けをされました。
故人のお着物をリフォームして形見分けをされる場合には、渡す方々へ配慮すべき点があります。
それは、お品の価格です。
今回のケースでは、伯母様3名という事です。
この場合、3名それぞれに品を変える、という選択肢もありますが、そうすると3名それぞれ価格を同一にする事が難しくなります。
ですので、ほとんどのケースでは同じお品を人数分お作りになります。
そうすると今度は、価格は同じに揃えられますが、渡す方々すべて同じ品ということになりますよね。
ただ、人間、人とまったく同じ品物を使うのはイヤなものです。
なので、当店では、「出来るだけ、同じ物は作らない」という事を実践しています。
今回の場合、トートバッグの表には外ポケットもない為、外見に変化の付けようがありません。
そこで、バッグの中袋をそれぞれ違った種類の着物生地を使用することを提案させていただきました。
写真の中袋はすべてシルクの着物生地です。
ここで注意すべき点は…
着物リメイクのバッグの中袋に、市販のサテン生地を安易に使用するのは当店的には避けるべきと考えています。
●着物生地(シルク)に合わせる生地は、着物生地がベストです。
たとえ中袋とは言え、サテン等のまったく異質な生地を付けると、着物リメイク品の風合いを損ねますし、安っぽくなります。
もっと言えば、着物リメイク品の"品位を下げる"ことにも繋がりかねません。
シルクの着物にシルクの裏地が付いているように、着物リメイク品はすべて着物生地で作り上げたほうがやはり"しっくり"きます。
今回の中袋に使用する生地は、当店の在庫着物の生地を使用しています。
当店には、1000枚を超える着物がございます。
元々はリサイクル着物店だったからです。
お客様のどんなお着物にも合わせられるだけの、良質のシルクの着物ばかりです。
今回のお客様にも、この在庫着物を活用させていただきました。
再度、協調させていただきますが…
「着物生地には、着物生地しか、合わない。」
これから着物リメイクをお考えの方は、
この事を念頭において、リメイクしてくださいね。
