着物の解き方と、時間短縮のための知恵…教えます
2018/02/17
着物をリメイクするときに一番最初にするのは「着物を解く」作業ですよね。
ところが、これが結構たいへんな作業なのです。
何が大変か、という事なのですが…
作業自体は、何も難しい所はありません。
必要なのは、「慎重さ」と「根気」です。
第一に、解く順序についてです。
さまざまな本やネット等では
「着物を仕立てる順序の逆に解いていく」と書かれています。
正解ですが、
これ、必ずしも守る必要はないです。
あなたが、着物を解く目的は何ですか?
お直し、洗い張り、リメイク(リフォーム)、のいずれかですよね。
着物を解いて雑巾にするのならともかく、「お直し」「洗い張り」「リメイク」するのですから、ミス(破る・穴をあける等)があってはいけませんよね。
解く順序を守れば、早く、綺麗に、ミスなく解けるのでしょうか?
答えは、NOです。
解く順序で、解くスピードが劇的に変わることはありませんし、順序を間違えたからといって解けないわけでもありません。
基本はリッパーでコツコツ解くわけですから、要は慣れの問題と、あとは慎重の上にも慎重に解いていけば良いのです。
着物を解く順序はさほど気にする必要ない
これが、私の意見です。
解く順序は、どうでもいいのです。
大切な事は、「いかに丁寧に解くか」です。
一応、当店の場合は…
「両袖」「衿」「おくみ」「脇」「背縫い」「見頃」の順に解きます。
(ちなみに、この順は仕立てる時の逆です)
時間は、2~3時間はかかります。
とにかく慎重に解いていけば良いのですが、
途中で難関がありますので、そこの部分を少し説明したいと思います。
●一番の難関は…
着物の仕立てにかかる時間は、「袖付け作業に半分かかる」と言われるぐらい、袖は強力に縫われています。
当店の場合は最初に袖を外しますが、着物の袖付け部分、特に脇にあたる部分(身八つ口)は糸が生地に食い込む位しっかりと縫われてたり(かんぬき)、また力布で補強(ささべり)していますので非常に厄介です。
少しずつ、糸を見極めながら慎重な作業が必要です。
着物によっては、他の部分にも「かんぬき」や「ささべり」が施されていますので、この部分は注意して解いてください。
横着して縫い目を裂くように解くと、この「かんぬき」や「ささべり」に引っ掛かり、生地が破れて、取り返しのつかない状況になります。
●次なる難関は…
ありません。
第一難関をクリアすると、あとは黙々と解くのみです。
全体的な注意点として、少しでも多く縫い目を解こうとして、必要以上に生地を引っ張らない事です。
最後に、解き終わると余分な糸取りと、アイロンがけをすると思います。
解く作業は「慣れる」以外にスピードアップの方法はないのですが、解いた後の糸クズ処理とアイロンにはちょっとしたコツがあります。
ここで質問
あなたは「糸取り」「アイロン」のどちらを先にしますか?
たぶん、糸取りを先にするのではないでしょうか。
ハイ、今すぐそれはやめましょう。
(エッ、解きながら取る人もいるの? あなたは人生ムダにしてますよ)
そんな人は、これを覚えておいて損はないです。
「糸くずが付いたままアイロンがけを先に」します。
続いて余分な糸くずを取ります。
“普通は逆では”と思うでしょうが、そのほうが作業効率は圧倒的に良いです。
何故なら…
解き終わったばかりの生地には「折り山」がついています。
これが邪魔して糸取りが非常にやりにくいのです。
当店では
① 解いた後の糸くずが付いたままアイロンを先にかけます。
② 生地がまっすぐの状態で、ガムテープでペタペタして糸くずを取ります。
(すべて取れるわけではないですが、粗方はそれで取れます)
③ その後、手作業で残った糸を取ります。
※ 生地をまっすぐ伸ばした状態なので、「糸クズの取りもれ」もなくなります。(糸クズがあると目立ちます)
是非、この方法でやってみてください。
大幅に時間が短縮できるはずです。
以上で無事に、一枚の着物がまっすぐな生地の状態になります。
着物を解くのは、思っているよりも大変な作業です。
コツコツと丁寧に、破らないように解いてくださいね。
そして
解いた後の「糸くず取り」は、上記の手順と方法でやりましょう。
PS.
着物が「手縫い」でなく
もし、「ミシン」で縫われていたら…
諦めてください(笑)
3倍くらい大変な作業となります
(最近の、比較的安価な着物に多いです)