80×170センチ、特大サイズ玄関マットの制作
2015/05/16
一間玄関用、玄関マット制作過程の写真です。
黒留袖の裾の柄部分を使用しています。
幅170センチとなると、着物を広げた状態で、ほぼそのまま使用することになります。
ただ、着物そのままでは使用出来ません。
着物は、縫い目を隠して見栄えを良くする為に「キセ」をかけて仕上げています。
そして、そのキセ山を割ってよく見ると、実は、柄がズレているものがほとんどです。
着物として着るぶんには、多少(2、3ミリ程度)の柄のズレはさほど気にはならないでしょう。
しかし、何かにリメイクする場合には、柄のズレは非常に目立ちます。
したがって当店では、どんなリメイクでも、いったん解いて柄を合わせています。
写真上は、柄合わせをした後、特殊な滑り止め用の接着芯を裏から張り付けた状態です。
ここまで大きい面積を、ヨレやダブリなく接着するには、技術を要しますし、かなりの緊張感をもって作業にあたらないと、失敗してしまいます。
このあとの作業としては、
○裏地と中材を接着する。
○表側と裏側を中表でたたく。(写真下の状態)
○ひっくり返して、まつる。
以上で完成です。
玄関マットの構造は、上から、留袖生地・滑止接着芯・中材・両面接着芯・裏地、となっています。
この構造により生地同士が滑らず、人が踏んだ時に滑って転ぶことのない玄関マットが出来上がります。
着物を玄関マットにリフォームすることには抵抗のある方もいるし、賛否両論ある商品であることは承知をしています。
ただ、当店は「着物リメイク屋」でございます。
着物を他の形に仕立て直して、御飯を食べています。
お客様の、どんなリメイクのご依頼にも応えるのが仕事です。
当店は、「仕事の選り好み」はしません。
どんなご依頼にも応える姿勢ですし、それがプロだと考えています。
よく、「玄関マットは着物を足で踏むから良くない」というご意見を頂戴します。
であるならば、「日傘」はどうなんでしょうか?
着物を紫外線にさらし、徐々に色あせていくのです。
日傘は良くて、玄関マットは悪い、その理屈が私には理解不能です。
問題の原点は、「着物を着なくなった」ことであり、着ない着物の生地を有効利用するのに、「○○は良くて、○○は良くない」という事を我々業者側が言うべきではありません。
それは、お客様がお決めになることです。
私は、このブログで、他店のリメイク作品の"品質"について批判することがあります。(もちろん店名は出しませんが)
その意図は、世の中の着物リメイク品の品質そのものが良くなっていってほしいからに他なりません。
しかし私は、他店の商品カテゴリー(商品そのもの)を批判や否定をした事はありません。
最近、当店の玄関マットを公然と批判・否定している他店のブログを発見しました。(当店の店名は出していませんが、玄関マットを商品にしているのは当店ぐらいですので名指しされたも同じです)
同業同士はいわば商売敵(がたき)ですので、互いに牽制し合うことは仕方ないにしても、一定のルールやモラルは守っていただきたいものです。