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着物リメイクの危険「経年劣化した生地を使うと…」実際に検証してみた

当店、外の、のれんです。

リメイク直後の状態

約1年経過した状態

2017/01/27

「着物リメイクの危険シリーズ」

今回は、古い着物(戦前・戦後くらい)の生地の経年劣化について、当店の見解を書いてみたいと思います。

まず、大きく分けて、着物生地には2種類の傷み方があります。

① 生地全体が色あせていると同時に織り糸自体が劣化した状態。
  (いわゆる経年劣化)
  ※見分け方は「生地が紙に近づいている」といった印象。
   ゴワゴワとした感じで、生地が硬くなっている印象。

② 部分的に生地が擦り減った状態。(帯によく見られます)

②については、
  その部分を避けてリメイクすれば解決しますが、

問題なのは、
  ①の経年劣化した生地を使用してリメイクする場合です。

その場合は当たり前ですが、洋服や日傘へのリメイクはお薦め出来ません。
バッグや小物へリメイクすれば、何とか使用は出来るでしょう。

ただし、長年の使用に耐えられるかは、経年劣化の度合いにもよります。

劣化が酷い場合は「ラミネート加工」という方法もありますが、あまりお薦めはしていません。
そう、あのテカテカしたビニール的なもので保護する方法です。着物リメイク品の風合いなどあったものではありません。

経年劣化した着物をリメイクすると、使用していく内に、どの様になるのかが知りたいところだと思います。

ちょっと極端な例で、ご説明します。

写真(上)は当店いにしえの店舗の外の暖簾(のれん)です。
(生地は恐らく戦前のもので、裏に接着芯を貼って補強しています。)
写真(中)は、上の写真の一部を拡大したものです。

北向き店舗なので、直射日光はあまり当たりません。
雨の日は、ひさしの奥側に設置しますので濡れる事はありません。
もちろん毎日閉店後は、店内にしまいます。

この条件で、一年が経過した状態が、(下)の写真です。

如何でしょう。

大きな変化は、「色あせ」と「亀裂」です。

色あせは、紫外線の影響と思われます。

亀裂は、主に折り山から発生しているのがわかります。
(左の生地で説明すると、真ん中に縦に大きな亀裂がありますが、元々は折り山の部分です。さらに、周囲や他の部分にも亀裂が走り、黒の接着芯がむき出しになってい.るのがわかります。)

亀裂の主たる原因は、接着芯と思われます。
日々の湿度や気温の変化による接着芯の伸縮に、弱い表生地がついていけない状況で亀裂が起こったと判断できます。

これは、極端な例ではありますが、
経年劣化した生地を使用してのリメイク品で一番怖いのは、そのうち「亀裂」が起こるという現実です。

古い生地には味があり希少ですので、「リメイクしてほしい」という方も多いです。
しかし、お客様には、上記のような「物理的な問題」も説明して、納得いただいた上で、オーダー受注するべきだと私は思っています。

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