和座卓セットを題材にリメイク品の良し悪しを考える。
2015/06/03
本日は、和室での「和座卓用のコーディネート商品」をご紹介させていただきます。
まず、この和座卓セットは着物2枚が必要になります。
メインに使用するお着物1枚をご提供いただければ、当店で、それに合う着物を数枚チョイスして、お客様に選んでいただいております。
基本セット内容は、
「和座布団カバー・銘仙判55×59センチ」4枚
「テーブルセンター」1枚
「ティーマット」4枚
「ティッシュBOXカバー」1個
になります。
これに、共生地でフラワーを追加しても綺麗で良いと思います。
和座布団には、さまざまなサイズがありますので、お客様のご指定サイズでお作りします。
また、セット内容もお客様ご希望の内容や数に変更出来ます。
(ランチョンマット・フラワー等の追加など)
※座布団カバーの追加も出来ますが、その場合、いわゆる「わ」では取れませんので、片面仕様になります。
この商品で一番難しいのは、やはり「サブで使用する着物の選択」です。
着物リメイクで他の生地を継ぐ場合、市販の生地では、まず合う物はありません。
これは、「経験」でしか解かり得ない事なのですが、
●「着物リメイクで2種類以上の生地を使用する場合、基本すべて着物生地を使用する。」
という事を、当店では厳守しています。
文章では表現しづらいですが、市販生地では「どれもシックリこない」のです。
「着物の生地は別格」ということの証なのでしょうか。
合わせる生地が決まれば、あとはむずかしい縫製ではありませんので、完成度は別としてミシンの出来る人であればご自分で出来ると思います。
ワンポイントアドバイスとしては、
座布団カバーの継ぎに関しては、工夫して補強しておく事をお薦めします。
補強なしでは、座った瞬間に「バリッ」、となる可能性が高いです。
この、着物をリフォームした座布団カバーですが…
当店の玄関マットと同じく、「着物の上に座る」という意味では、???と思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、考えてみてください。
着物にハサミを入れた時点で、それは着物ではありません。
着物リメイクをする、という事は、「着物を着物でなくする」事です。
たとえば、着物をリメイクされる人には、いろんな人がいます。
着物としては、もう使わない。
形見分け。
後者であれば、とてもとても玄関マットや座布団などはお薦め出来ませんし、日傘も如何なものかと思います。
当たり前の話ですよね。
前者であれば、「その着物への想い入れ」によると思います。
想い入れが強ければ、玄関マットや座布団にはしないと思いますし、するべきではありません。
しかし、残念ではありますが、世の中には着物に対してあまり想い入れのない人達も大勢いるのです。
そういった人達は、「美」のみを追求して着物リメイクをされますので、玄関マットや座布団という選択もされるわけです。
私は、それで良い、と思っています。
着物が、箪笥の中で息苦しく朽ち果てる、よりはマシだと思うからです。
問題の根本は、
従来の呉服屋が、
●「着もしない着物を、強引な営業で庶民に大量に売りつけた」
ことであり、
既存の着物愛好者が、
●「格式や作法を重んじ敷居を上げ、着物離れを加速させた」
ことです。
その結果が、今の着物文化の衰退に繋がっています。
呉服関係の仕事をしている(してきた)方々は、これらを自覚しているのでしょうか?
着物リメイクという仕事は、
もはや着物としては残せないが故に生まれた業種です。
●何にリメイクしても、着物のままよりは役に立つ
から、人は着物をリメイクするのではないでしょうか。
着物を大切に思うのなら、いかなる場合にも着物にハサミを入れるべきではありません。半年に一度は出して干し、メンテナンスを怠らずに代々受け継ぐべきです。
それが出来ないなら、それはもはや着物ではありません。本当の意味で箪笥の肥しです。着物を粗末に扱っている事に他なりません。
●着物を人めに触れさせる
しかし、現代ではそれが出来ない(着ない)から、私達のような仕事があるのです。
●リメイクして人めに触れさせる
このことに、リメイクして「良い品、悪い品」など、ありません。